『プロ野球ファミリースタジアム』とはなんぞや?

 1986年、(株)ナムコから『プロ野球ファミリースタジアム(以下ファミスタ)』という作品がファミリーコンピュータ(以下ファミコン)用ソフトとして発表された。それまで野球ゲームといえば(株)任天堂『ベースボール(以下ベースボール)』くらいしかなく、サードパーティからのファミコン向け野球ゲームとしてはおそらく最初の作品であろう。そしてこのファミスタがそれ以降の野球ゲームのマイルストーンとして確立される。

 ファミスタがヒットした原因として考えるに以下の数点がある。第一点として野球ゲームというジャンルが当時においてはニッチ(すき間)であったためである。競合するソフトはベースボールのみという状態であったことは、ナムコにとっては好条件であったと言える。第二点はゲームとしてのバランスが取れているということである。初心者にもプレイが容易な難易度設定、操作の軽快感、画面上の表現のあざやかさなど、ベースボールと比して劣る点がない。第三点は「個性」である。ベースボールにはチームが6チームあったとはいえ、単に色で分けていたのみであった。しかしファミスタには実在の球団をイメージしたチーム、そしてなにより名前と打率・HR・足の速さなど成績のついた選手がいた。このように個性を与えることによって、より実際の野球に近づけて、なおかつ思い入れを強くさせることができる。これでプロ野球ファンを取り入れることができたのは確かだろう(『燃えろプロ野球((株)ジャレコ)』の個性付けも強烈だが、止めたバットでHRを打てるようなものはクドイとしか言いようがない)。

 こうしてゲーム界にさっそうと登場したファミスタは、それ以降『実況!パワフルプロ野球((株)コナミ)』が登場するまで、事実上ナンバー1の野球ゲームとして君臨し続ける。もっともそれまでの野球ゲームが劣るものばかりということではない(『ベストプレープロ野球((株)アスキー)』は監督としての戦略をうまくゲームにした名作である)。ただファミスタを超えることができなかっただけである。

 パワプロにトップを明け渡したファミスタであるが、その影響はパワプロにも色濃く残っている。コントローラ操作に関してパワプロは独自のスタイル(送球方向を4つのボタンに振り分けている)を使用しているが、これとファミスタスタイルを併用している。これはファミスタに慣れたユーザーでも楽にプレイができるようにというKCE大阪開発チームの配慮だろう。現在発表されている野球ゲームのほとんどはファミスタスタイルを踏襲しているのではないだろうか。それだけ開発スタッフを含め、ファミスタに親しんだユーザーが多いということだろう。

 ここ最近、ファミスタがファミスタでなくなっているという声を聞く。プレイステーションやNINTENDO64などのプラットフォームの多様性に促して、それに合わせたファミスタを模索しているか、もしくはパワプロにトップを奪われて焦りがあるのだろうが、それが旧来のファミスタファンに戸惑いを覚えさせているのだろう。ファミスタファンが求めているのはおそらく「リアルな野球」よりも「シンプルな野球」なのではないだろうか。投げて打って走って守る、このシンプルさもファミスタの魅力のひとつだったと思う。ファミスタの今後がどうなっていくのか。見守りたいと思う。


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First Created Nov. 27 1998.
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