【第27回・『明暗』】

他にいろいろとネタもあったんですが、第27回という数字と関連してカールトン・フィスクの殿堂入りに関する話の続編を。結局フィスクは紺地に赤いBの帽子を選んだが、これを受けてレッドソックスは所属当時の背番号27番を永久欠番とすることに決定。これにより8月の式典でフェンウェイパークの外野フェンスにテッド・ウィリアムスの9番やカール・ヤストレムスキーの8番とともにフィスクの27番が飾られることになった。

これに関してフィスクは「(27番が永久欠番になることは)私のキャリアにとってとりわけ特別なものだね。私には縁遠いことだと思っていたんだ。ジョー・クローニンやボビー・ドアー、それにテッド・ウィリアムスと同じページに名前が記されるなんて信じられないよ」とその喜びを語っている。

しかし笑うものあれば陰に泣くものあり。フィスクがそのキャリアの半数以上を過ごしたホワイトソックスの関係者はやはり落胆しているようだ。「ホワイトソックスファンであり、フィスクファンである私たちとしては実に残念です。きっと我がチームの帽子を被ってくれると信じていたのですが、彼にとっても難しい選択だったんでしょう。それでも私たちは彼の殿堂入りを
心から喜んでいます」とはスポークスマンのライファート氏の言。

確かにどの帽子を被るかはフィスク本人が決めることではあるが、こういう発言があると個人的にはホワイトソックスの肩を持ちたくなってしまう。先々週の編集後記でちょっと触れたが、レッドソックスとホワイトソックス半分づつの帽子を作って被ってもらえないもんだろうか。というわけでタイトルは『明暗』ながらちゃんと締めてみました(笑)。

注)「明暗ながらちゃんと締めて」というのは夏目漱石の遺作となった小説『明暗』が未完のまま終わったことに引っ掛けています。

【第28回・『兄弟』】

『兄弟』といっても「兄さん、頼むから死んでくれ」という、なかにし礼の小説ではありませんで(笑)。昨年のア・リーグの主役といってもいい程の活躍をしたペドロ・マルチネスとラモン・マルチネスの兄弟のおはなし。ラモンとペドロの兄弟はサイ・ヤング賞受賞記念で行われた夕食会に揃って出席しました。そこでペドロはスピーチを行い、その中で昨シーズンのことについてコメントしている。

「あのシリーズを見てて僕たちとヤンキースとの差はほんのちょっとしたものだって思ったんだ。今まで通りにやっていけば必ず彼らを追い抜ける。ファンのみんなだってそう考えてるはずさ。去年もっと上へ行こうと言って実際にそうなったんだから、今年も歩みを止めずにワールドシリーズを目指すよ」と実に前向きな発言をしている。

そして兄ラモンから改めてトロフィーを渡されたペドロは「僕はこの賞を貰ったこと以上に兄さんのことを誇りたい。兄さんは僕にとってピッチングについてのお手本だし、目指すべき目標なんだ。だから兄さんにもこの賞を誇って欲しいんだ」と兄弟の絆の深さを感じさせるコメントを残している。昨季に最高ともいえる成績を残した弟と、ケガなどもあり本来の力を見せることのできなかった兄。この2人が揃って活躍してチームが昨年と同じだけの成績を残すならば、ペドロのいう通りにワールドチャンピオンを狙うことができるだろう。

注)すいません、2回続けてタイトルが小説から引用でした(笑)

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First Created 99/08/23
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