【第53回・.400を叩き出す意外なバット】
シーズンも終わりに近づき、皆の大きな期待の一つである打率.400に近づいたトッド・ヘルトンがスポーティング・ニュース誌のインタビューに答えていたのだが、その中で意外な人の名前が出て来た。
「オレの使っているバットは34.5インチ、32オンス。コイツはジェフ・マントが使っているモデルのバットなんだ。わざわざ彼から送ってもらってるんだよ。3Aの選手からバットを送ってもらっている大リーガーなんて聞いたことあるかい?」
ジェフ・マントという名前にピンと来た方、そのとおり。読売ジャイアンツに助っ人選手として来日しながらも、さしたる活躍も出来ず帰っていったあのマントである。マントは今シーズンの一時期ロッキーズに在籍していたが、その後古巣インディアンスに移籍。そのとき残されたマントのバットを手にしたヘルトンは、彼のバットの感触が理想的なものであることを発見、それが.400近いアベレージを叩き出している。「スランプと闘っている中でマントのバットと出会った。迷わず彼に電話したね。『このバット、送ってください!』ってね」
一昨年にマーク・マグワイアとサミー・ソーサが年間本塁打記録に挑んだときのように、この時期からヘルトンには大きなプレッシャーがかかってくることは間違いない。ヘルトンは「打率はともかくとしても試合に出たい」と言っているが、ここから先の敵は相手チームだけでなくプレッシャーも加わる。おそらく年間本塁打記録よりも難しいかもしれない打率4割だが、たとえ届かないとしてもヘルトンには悔いが残らないようにプレイしてもらいたいものだ。
【第54回・リビング・レジェンドの夢】
先日、オリオールズのカル・リプケンがワシントン・ポスト紙のインタビューに応じて、自身の引退後の目標について語っていた。それによるとリプケンはチームの運営に携わるような仕事をしたいのだという。そこで彼が引き合いに出した名前はバスケットボールのスーパースターだったマイケル・ジョーダンだった。
マイケル・ジョーダンは引退後、ワシントン・ウィザーズというNBAチームのオーナー兼ディレクターとして、ヘッドコーチを招聘するのに自ら説得にあたるなど精力的に業務にあたっている。リプケンの考えている自身の未来図はそのような形でチームを作り上げて行くことだそうだ。「ジョーダンがバスケットボールの世界でやっているようなことを、私も野球の世界でやってみたいと思っている。もちろん私にはできると考えているよ」というリプケン。かたや「鳥人」かたや「鉄人」と呼ばれたリビング・レジェンドの2人は業界は違えど同じ夢を持っている。
そして今年のシーズン後にFAの資格を取得するリプケンに他チームへ移籍の可能性についての質問をしたところ「私は余計な事はしゃべらない主義だ。そういう詮索はあまり好きではないしね」と不快感をあらわにしている。来週には40歳になるリプケンは現段階では来シーズンもオリオールズで現役を続け、そのままキャリアを終えることしか頭にないようだ。つまりリプケンが作り上げたチームを見るのはあと数年先、ということか。
Back! or Go forward!
First Created 99/08/23
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